電波の質その1(/w 受信設備)

出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成30年7月)

電波の質は出題率50%を超える頻出問題ですので確実に取れるようにしましょう。
この項目は「電波の質」単体で出題されることは殆どなく、受信設備または送信設備と組み合わせて出題されます

  • 電波の質+受信設備
  • 電波の質+送信設備

ここでは電波の質+受信設備のほうを解説します。送信設備に関してはこちらの記事を参照ください。

まず関連する法規、電波法 第28条、第29条、無線設備規則第24条を見てみましょう。

電波法 第28条(電波の質)

送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び高調波の強度電波の質は、総務省令で定めるところに適合するものでなければならない。

電波法 第29条(受信設備の条件)

受信設備は、その副次的に発する電波又は高周波電流が、総務省令で定める限度をこえて他の無線設備の機能に支障を与えるものであつてはならない。

無線設備規則 第24条(副次的に発する電波等の限度)抜粋

法第二十九条に規定する副次的に発する電波が他の無線設備の機能に支障を与えない限度は、受信空中線と電気的常数の等しい疑似空中線回路を使用して測定した場合に、その回路の電力が四ナノワット以下でなければならない。

電波法では電波の質を以下の3つとしていて、図で表すと次のようになります。

  • 周波数の偏差
  • 電波の幅
  • 高調波の強度等

そもそも「電波の質」とは何で定義しているかというと、他の無線設備に悪影響を与える可能性があるものを電波の質としています。
電波は貴重な資源であり、多くのシステムが様々な用途で使用しています。それを周波数ごとにきっちり分けて満員電車のようにお互いが干渉しない範囲でギュウギュウの間隔で使っています。
イメージでいうと下図のような感じです。

ですので、周波数がずれて横に動いたり幅が広がったら隣の無線設備に干渉するし、高調波の強度が増えるとぶつかってる無線設備への影響が大きくなるので、これらを電波の質として法令で管理しています。また高調波の強度という言葉が使われていますが等には「スプリアス」と「不要輻射」が含まれます。

受信設備
受信設備とはその名の通り電波を受信するのみの設備で電波を出すことはなく、そのため混信することは可能性として少ないです。ただ高い電力を扱う設備になるのでノイズを出す可能性があり、それが他の無線設備に影響を与えては困るので、他の無線設備に支障を与えない事という言い方で規定を設けています。またこの支障を与えないノイズの電力は4nWと決められていますのでこれは覚えてください。
人によっては-54dBmと覚えたほうがしっくりくるかもしれませんね。

ちなみに4nWをdBmに変換する計算ですが、基準の1mW=0dBmから考えます。
4nのナノは10-9でミリ(10-3)より6桁小さい値です、dbmの世界では桁が1/10になるごとに-10dBmされるので6桁小さいと-60dBmになります。つまり1nWは-60dBmです。
またdBmの世界では、数字が倍になるごと3dBm増えていくので4nWは1nWの倍の倍なので-60dBm+3dBm+3dBmとなるため-54dBmになります。

デシベルの計算スキルは無線関連では避けては通れないので暗算である程度計算できるようにしっかりと理解したほうがいいです。デシベルがわからない人は無線屋として認めてもらえないかも。。。

デシベルに関する書籍はこちらで紹介していますので苦手な方は参考にしてみてください。

長くなりましたが覚えておきたいポイントは次になります。

電波の質は周波数の偏差、幅、高調波の強度
周波数の偏差、幅、安定度、高調波の強度
重要無線通信は他の無線設備
電気通信業務の用に供する無線設備
他に影響を与えない4ナノワット
40ナノワット

答え「4」