伝搬障害防止区域の指定

出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成30年7月)

伝搬障害防止区域とは、無線通信における特定の地域で電波の伝搬による問題を防ぐために設けられます。この区域内では他の無線機器の設置や運用が制限され、通信品質の向上や周辺システムとの干渉の回避が図られ無線通信の円滑な運用を支える重要な役割を果たしています。

試験では毎回同じところが出ているのでポイントのみ覚えてください。関連法規は電波法の第百二条の二です。

第百二条の十八

・総務大臣は、八百九十メガヘルツ以上の周波数の電波による特定の固定地点間の無線通信で次の各号の一に該当するもの(以下「重要無線通信」という。)の電波伝搬路における当該電波の伝搬障害を防止して、重要無線通信の確保を図るため必要があるときは、その必要の範囲内において、当該電波伝搬路の地上投影面に沿い、その中心線と認められる線の両側それぞれ百メートル以内の区域を伝搬障害防止区域として指定することができる。
 1.電気通信業務の用に供する無線局の無線設備による無線通信
 2.放送の業務の用に供する無線局の無線設備による無線通信
 3.人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備による無線
 4.気象業務の用に供する無線設備による無線通信
 5.電気事業に係る電気の供給の業務の用に供する無線設備による無線通信
 6.鉄道事業に係る列車の運行の業務の用に供する無線設備による無線通信

・ 前項の規定による伝搬障害防止区域の指定は、政令で定めるところにより告示をもつて行わなければならない。

・ 総務大臣は、政令で定めるところにより、前項の告示に係る伝搬障害防止区域を表示した図面を総務省及び関係地方公共団体の事務所に備え付け、一般の縦覧に供しなければならない。

・ 総務大臣は、第二項の告示に係る伝搬障害防止区域について、第一項の規定による指定の理由が消滅したときは、遅滞なく、その指定を解除しなければならない。

試験に出るのはアンダーラインを引いた場所で、問題は毎回同じです。

両側それぞれ100メートル
50メートル
重要無線通信は人命若しくは財産の保護又は治安の維持
船舶又は航空機の安全な運航
図面を総務省及び関係地方公共団体
総務大臣の指定する団体

伝搬障害区域範囲の100メートルはそう決まっているので覚えるしかありません。
重要無線通信のところは「船舶又は航空機の」記載がありますが、この語句が入っている選択肢が正解となることはほとんどありません。海上無線通信士や航空無線通信士の資格が別にあるので船舶や航空機に関することは陸技では扱わないのではと思っています。
図面を備え付ける団体ですが、問題を見ると「一般の縦覧に供しなければならない」との記載があり簡単に言うと一般の人が自由に見られるようにしなければならないという事です。例えば一般企業が指定されたとすると施設やセキュリティから一般の人を受け入れるのは難しいので「公共団体」が妥当という事になります。

まとめ

次の要点を覚えましょう。

  • 伝搬障害防止区域は両側それぞれ「100メートル
  • 重要無線通信とは「人命若しくは財産の保護又は治安の維持」に使う通信
  • 伝搬障害防止区域を表示した図面は「総務省及び関係地方公共団体」に備え付ける

答え 「3」