人体頭部における比吸収率の許容値

出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成29年7月)

比吸収率とはSARともいわれ、携帯電話などの無線設備が人体に与える電磁波の吸収率を測定する指標です。この数値は人体への影響を評価し、安全基準を満たすために用いられます。各国によって異なる基準が設けられています。電波法では無線設備規則第14条の2で規定されています。

無線設備規則 第12条の2人体にばく露される電波の許容値

無線局の無線設備(送信空中線と人体(側頭部及び両手を除く。)との距離が二〇センチメートルを超える状態で使用するものを除く。)から人体(側頭部及び両手を除く。)にばく露される電波の許容値は、次の表の第一欄に掲げる無線局及び同表の第二欄に掲げる発射される電波の周波数帯の区分に応じ、それぞれ同表の第三欄に掲げる測定項目について、同表の第四欄に掲げる許容値のとおりとする。

無線設備の種類人体人体四肢
陸上移動局2ミリワット4ミリワット

条文が長いので一部のみ記載しています。

この問題で押さえておいてほしいポイントは2点です。

  • 携帯電話や広帯域無線アクセスシステム(WiMAX)などのモバイル端末について問われている
  • 人体のなかで四肢が一番許容値が大きい

問題で取り上げられている「陸上移動業務の無線局」と「陸上移動局」は似ていますが、異なる概念です。陸上移動業務の無線局は広義に用いられ、例えばタクシー無線のように自動車に設置される無線局を含みます。これに対し、携帯電話や広帯域無線アクセスシステム(WiMAX)は、より具体的な「陸上移動局」に該当します。これらは移動しながらの通信を主目的としており、その運用が限定されています。

また、人体の四肢に関しては、臓器のような複雑で敏感な器官がないため、四肢以外の部位や頭部より許容される電波の値が大きくなっています。これは、四肢が電波の影響を受けにくいという生物学的特性に基づいています。

電波法では、無線設備規則第12条の2において人体にばく露される電波の許容値が規定されています。この条文では、無線設備から人体への電波ばく露の許容値が詳細に定められており、この規則によると、例えば陸上移動局における人体への許容値は2ミリワット、人体四肢への許容値は4ミリワットとされています。

この問題では、携帯電話やWiMAXなどのモバイル端末に関連する内容が問われています。この場合、これらの端末は限定的な「陸上移動局」に該当し、人体への許容値は四肢に比べて少ないことが指摘されています。つまり、人体への影響を考慮した際、四肢の許容値は2ミリワットより大きいということになります。

答え「1」