総則_定義等(周波数等)

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出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成28年7月)

電波法施行規則第2条には、電波法で用いられる用語が定義しています。その用語に関する問題になります。

電波法施行規則 第2条定義等※一部抜粋

電波法に基づく命令の規定の解釈に関しては、別に規定するもののほか、次の定義に従うものとする。

五十六 「割当周波数」とは、無線局に割り当てられた周波数帯の中央の周波数をいう。
五十七 「特性周波数」とは、与えられた発射において容易に識別し、かつ、測定することのできる周波数をいう。
五十八 「基準周波数」とは、割当周波数に対して、固定し、かつ、特定した位置にある周波数をいう。この場合において、この周波数の割当周波数に対する偏位は、特性周波数が発射によつて占有する周波数帯の中央の周波数に対してもつ偏位と同一の絶対値及び同一の符号をもつものとする。
五十九 「周波数の許容偏差」とは、発射によつて占有する周波数帯の中央の周波数の割当周波数からの許容することができる最大の偏差又は発射の特性周波数の基準周波数からの許容することができる最大の偏差をいい、百万分率又はヘルツで表わす。
六十 「指定周波数帯」とは、その周波数帯の中央の周波数が割当周波数と一致し、かつ、その周波数帯幅が占有周波数帯幅の許容値と周波数の許容偏差の絶対値の二倍との和に等しい周波数帯をいう。
六十一 「占有周波数帯幅」とは、その上限の周波数をこえてふく射され、及びその下限の周波数未満においてふく射される平均電力がそれぞれ与えられた発射によつてふく射される全平均電力の〇・五パーセントに等しい上限及び下限の周波数帯幅をいう。
六十二 (省略)
六十三 「スプリアス発射」とは、必要周波数帯外における一又は二以上の周波数の電波の発射であつて、そのレベルを情報の伝送に影響を与えないで低減することができるものをいい、高調波発射、低調波発射、寄生発射及び相互変調積を含み、帯域外発射を含まないものとする。

56項~63項まで電波の周波数に関連する定義がされており、内容を変えてよく出題されるのですべて押さえておきたいです。
ここではそれぞれの項目で問題に取り上げられる部分を中心に解説します。

五十六 「割当周波数」とは、無線局に割り当てられた周波数帯の中央の周波数をいう

電波は一般的にある程度の幅を持って割り当てられ「割当周波数」とはその中心の周波数を示します。例えば100MHz~110MHzの範囲で割り当てられた場合、割当周波数は105MHzになります。

五十七 「特性周波数」とは、与えられた発射において容易に識別し、かつ、測定することのできる周波数をいう。

特性周波数とは実際に無線局が発射している電波を測定した周波数です。
割当周波数と何がちがうのかと言うと、割当周波数は発射が許可された中心の周波数です。
先ほどの例で100MHz~110MHzが割当られたとして、必ず10MHzの幅をもって発射しなければならないかというとそうではありません。例えば1MHzずつ10個のチャンネルで運用する場合もよくあります。そのときは発射しているチャンネルによって特性周波数は103MHzだったり105MHzだったり発射する周波数が変わってきます。

五十八 「基準周波数」とは、割当周波数に対して、固定し、かつ、特定した位置にある周波数をいう。

基準周波数は特性周波数の理論値になります。例えば100MHz~110MHzが割当られたとしてその中の103MHz、105MHz、107MHzの3つのチャンネルで運用することとします。この場合の103,105,107MHzが基準周波数になります。しかし実際に発射した電波を測定したら発振回路の誤差などで少し周波数がずれていて106.9MHzだったということがあります。このとき106.9MHzが特性周波数で、基準周波数との違いになります。

五十九 「周波数の許容偏差」とは、発射によつて占有する周波数帯の中央の周波数の割当周波数からの許容することができる最大の偏差又は発射の特性周波数の基準周波数からの許容することができる最大の偏差をいい、百万分率又はヘルツで表わす。

周波数の偏差とは基準周波数のところで説明した、基準周波数(理論値)と特性周波数(実際に発射した電波を測定した値)の偏差のことを言います。
先ほどの例で基準周波数:107MHz、特性周波数106.9MHzとすると偏差は0.1MHz(=100000Hz)になります。無線局の種類ごとに許容できる最大の偏差が決まっておりその範囲に収まるように発射しなければいけません。太字で記した「特性周波数の基準周波数」の部分が試験でよく出ます。

六十 「指定周波数帯」とは、その周波数帯の中央の周波数が割当周波数と一致し、かつ、その周波数帯幅が占有周波数帯幅の許容値と周波数の許容偏差の絶対値の二倍との和に等しい周波数帯をいう。

指定周波数は実際に割り当てられた周波数の幅のことを言います。100MHz~110MHzまで割り当てられたら指定周波数は100MHz~110MHzです。ただし実際には周波数の許容偏差分も加味される(少し周波数がずれても許される)ので例えば許容偏差が100Hzだとしたらその分を入れて、指定周波数は99.999MHz~110.001MHzになります。

六十一 「占有周波数帯幅」とは、その上限の周波数をこえてふく射され、及びその下限の周波数未満においてふく射される平均電力がそれぞれ与えられた発射によつてふく射される全平均電力の〇・五パーセントに等しい上限及び下限の周波数帯幅をいう

帯域を持った電波は上図のようになだらかなスロープをもったスペクトラムになります。その中で全体の電力の99%を占める範囲が占有帯域幅ということに決められています。この0.5%という数字が試験でよく問われるので覚えておいてください

六十三 「スプリアス発射」とは、必要周波数帯外における一又は二以上の周波数の電波の発射であつて、そのレベルを情報の伝送に影響を与えないで低減することができるものをいい、高調波発射、低調波発射、寄生発射及び相互変調積を含み、帯域外発射を含まないものとする。

総務省からスプリアスの概念図が出ていますので引用します。スプリアス発射は不要発射のうち送信する電波からみて外側の部分になります。

引用:000754323.pdf (soumu.go.jp)

外側の領域なのでローパスフィルタやハイパスフィルタで低減することが可能です。低減できるかできないかが試験でよく聞かれるポイントになります。

答え

ア 1

イ 1

ウ 2

エ 1

オ 2