地球局の送信空中線の最小仰角

出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成26年7月)

地球局の送信空中線の仰角に関する問題です。仰角とは地平線から上に向かって測定される角度で、地平線方向が0度、真上方向が90度となります。

予備免許に関しては電波法施行規則第32条で示されています。

電波法施行規則 第32条地球局の送信空中線の最小仰角

地球局(宇宙無線通信を行う実験試験局を含む。以下同じ。)の送信空中線の最大ふく射の方向の仰角の値は、次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に規定する値でなければならない。

 深宇宙(地球からの距離が二百万キロメートル以上である宇宙をいう。以下同じ。)に係る宇宙研究業務(科学又は技術に関する研究又は調査のための宇宙無線通信の業務をいう。以下同じ。)を行うとき 一〇度以上

 前号の宇宙研究業務以外の宇宙研究業務を行うとき 五度以上

 宇宙研究業務以外の宇宙無線通信の業務を行うとき 三度以上

宇宙通信では電波の最小仰角は重要なパラメータで、これによって信号の品質と通信の信頼性が変わってきます。一般的には仰角が低いと通信性能が悪いです。これは地球の曲率や障害物によって信号が遮断されたり、また地球の大気を通過する距離が長くなり信号の減衰が大きくなるためです。

電波法施行規則では、信号の優先度によって最低仰角が決められており、優先度の高い通信ほど仰角をしっかり高くして通信品質を確保するように決めています。

通信の用途の優先度は  宇宙研究業務 > それ以外 となっています。

また深宇宙と近宇宙だと当然、遠くとの通信のほうが信号の減衰が大きく難易度が上がります。
ですので、距離の優先度は 深宇宙 > 近宇宙 となります。

よって最大に輻射する仰角の最小角度については優先度によって3つの場合で分けられています。

  1. 宇宙研究業務で、衛星が遠い(深宇宙)場合:10°以上(優先度最高
  2. 宇宙研究業務で、衛星が近い(近宇宙)場合:5°以上(優先度高
  3. 宇宙研究業務以外:3°以上(優先度低

ちなみに深宇宙とは電波法の定義では200万キロメートル以上の定義しています。静止衛星の高さが約3万5000キロメートル、月までの距離が約40万キロなのでかなり遠い場所のことを言っています。

答え 「1」