周波数等の変更

出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成27年1月)

総務大臣による無線局の周波数等の変更の命令に関する問題です。
基本的に無線局は申請した時の周波数や空中線電力などで運用を続けることになりますが、全体最適の観点などから周波数調整などが行われることがあります。その際に総務大臣より変更の命令が出されます。この変更の内容は電波法第71条に詳しく書かれています。

電波法 第71条周波数等の変更

総務大臣は、電波の規整その他公益上必要があるときは、無線局の目的の遂行に支障を及ぼさない範囲内に限り、当該無線局(登録局を除く。)の周波数若しくは空中線電力の指定を変更し、又は登録局の周波数若しくは空中線電力若しくは人工衛星局の無線設備の設置場所の変更を命ずることができる。

 国は、前項の規定による無線局の周波数若しくは空中線電力の指定の変更又は登録局の周波数若しくは空中線電力若しくは人工衛星局の無線設備の設置場所の変更を命じたことによって生じた損失を当該無線局の免許人等に対して補償しなければならない。

 前項の規定により補償すべき損失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。

 第二項の補償金額に不服がある者は、補償金額決定の通知を受けた日から六箇月以内に、訴えをもつて、その増額を請求することができる。

 前項の訴においては、国を被告とする。

 第一項の規定により人工衛星局の無線設備の設置場所の変更の命令を受けた免許人は、その命令に係る措置を講じたときは、速やかに、その旨を総務大臣に報告しなければならない。

通常、無線局は特定の目的のために開設・運用されています。総務大臣が周波数等の変更命令を出すときも、その目的の遂行に支障が出ないように配慮されます。

また変更させる内容は登録局と非登録局で次のようになっています。

登録局周波数、空中線電力
非登録局周波数、空中線電力、設置場所(人工衛星局の場合)

覚えておいてほしいポイントは2つあります。

1つ目は、設問の中に「実効輻射電力」という言葉が出てきますが、電波法や無線設備規則の中ではこの言葉は使われません。それなのでこの問題に限らず「実効輻射電力」という言葉がでてきたらその文章は誤りである可能性が高いです。

2つ目は、一般的に無線局は開設者の所有地に設置されるため設置場所を変更しろと言うのは無理です。例外は人工衛星局で宇宙空間にあるため位置変更が可能です。それなので設置位置の変更を言われたら人工衛星局の事だと考えてください。

答え「4」