出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成26年1月)
簡単そうだけど、意外と紛らわしいレーダーの最大探知距離に関する問題です
知っておきたいポイントは2点
- エネルギーは距離の4乗に反比例する
- 最小受信電力が大きいとどうなるのか理解する
問題を見てみましょう、設問では距離を2倍にする方法がどれかと聞いています
一つめのポイントですがエネルギーは距離の4乗に反比例するので、距離が2倍遠くなるとするとエネルギーは4乗(24=16)分小さくなります。つまり同じアンテナで2倍の距離を届かせるにはエネルギーが16倍必要ということになります。
もう一つのポイントですが、最小受信電力が大きいというのはどういう事でしょうか?大きい方がレーダーが遠くまで届く気がしますか?実は違います!
上の図で説明します、左のアンテナから放射されたレーダーが距離が延びるにつれて減衰していく様子を示しています。最小受信電力というのは例えば最小受信電力が1Wのアンテナだと、1Wの電力があれば受信できるので上の図の1Wと書かれた位置で受信できます。問題にあるように例えば最小受信電力を4倍にするというのは4Wの電力が無いと受信できないので上の図の4Wの場所、つまり最大距離としては短くなってしまいます。
以上をふまえて選択肢を見てくと
「1 送信電力の値を4倍にする」これは最初に説明したように距離を2倍にするなら16倍の電力が必要なため間違い
「2 最小受信電力を4倍にする」これも説明したように最小受信電力を4倍にすると到達距離は短くなるので間違い
「3 アンテナ利得を4倍にする」これは実は正解です、アンテナ利得を倍にするのだからエネルギーも4倍なので先ほどのエネルギーが16倍必要になるという説明と違うんじゃ?と思われるかもしれませんが、レーダーの原理とはアンテナから放射した電波が対象物に反射して戻ってくるものを受信して探知しています。選択肢では細かいことが説明されていませんがアンテナ利得を4倍にするという事は放射する電力が4倍、戻ってきた電波を受信する電力も4倍になり、それらを掛け合わせると16倍になります
「3」は最小受信電力の話なので割愛します
「5」の有効反射断面積は覚えなくて大丈夫です、この言葉が入っている選択肢は間違いだと思って除外してください
細かく説明しましたが、実はこの分野の問題は過去すべて「アンテナ利得」の選択肢が正解となっています、つまり余計なことは覚えなくて「アンテナ利得」が入っている選択肢を選べば大丈夫!
答え「3」