無線局の免許の取消し等

出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成28年1月)

無線局の運用者が法律や命令、処分に違反した場合、総務大臣は無線局の運用を一定期間停止させる、運用許容時間や周波数、空中線電力を制限する、または新たな無線局の開設を禁止することができます。また、違反が特に重大な場合には、無線局の免許を取り消すことも可能です。
これらについては電波法第76条に記載されています。

電波法76条は長い条文ですが、包括免許人や電気通信業務を行う免許人に関する項目は、一陸技の試験では過去に出題されたことはないので、これらは割愛して試験に必要な場所だけ記載しています。

電波法 第76条(無線局の免許の取消し等

総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、三月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。

 総務大臣は、免許人(包括免許人を除く。)が次の各号のいずれかに該当するときは、その免許を取り消すことができる。
 正当な理由がないのに、無線局の運用を引き続き六月以上休止したとき。
 不正な手段により無線局の免許若しくは第十七条の許可を受け、又は第十九条の規定による指定の変更を行わせたとき。
 第一項の規定による命令又は制限に従わないとき。
 免許人が第五条第三項第一号に該当するに至つたとき。
 特定地上基幹放送局の免許人が第七条第二項第四号ロに適合しなくなつたとき。

 総務大臣は、登録人が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すことができる。
 不正な手段により第二十七条の二十一第一項の登録又は第二十七条の二十六第一項若しくは第二十七条の三十三第一項の変更登録を受けたとき。
 第一項の規定による命令若しくは制限、第二項の規定による禁止又は第三項の規定による命令、制限若しくは禁止に従わないとき。
 登録人が第五条第三項第一号に該当するに至つたとき。

まず押さえておくポイントは、免許人が電波法や総務大臣の命令に違反した時は当然ながらペナルティを受けます。そのペナルティの内容が次の項目になります。

  • 無線局の運用の停止
  • 運用許容時間の制限
  • 周波数もしくは空中線電力の制限

これらのペナルティの期間は3か月以内の期間を定めて実施されます。

そして、もう一つ押さえておかなければいけないのは、免許が取消される重大な違反についてになります。それは次の項目になります。

  • 上記のペナルティを受けた際の命令に従わないとき
  • 無線局の運用を6か月以上休止した時
  • 不正な手段で、運用の条件や周波数、空中線電力などを変更したとき。
  • 電波法または放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者(第五条第三項第一号)

電波法に限らずですが、法律違反に対する罰則として、「〇〇以下の罰金または△年以下の懲役」という形で選択肢が設けられることが一般的です。これは、罰金刑と懲役刑が法的には同等の重さの罰として扱われているためです。
それなので選択肢にある「懲役」だとすると、同等のはずの罰金刑なら許容されることになり矛盾が生じてしまいます。

答え「1」