出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成29年7月)
名前は超有名なマクスウェルの方程式の問題です。実はマクスウェルの方程式に関する問題は、一陸技の試験の中でも再頻出の問題と言っても過言でありません。ほぼ確実に出題されるので点数が取れるようにしましょう。
マクスウェルの方程式はいくつか出題パターンがあるのですがここでは、そのパターンの一つである波動方程式を導出する過程について述べた問題について解説します。
マクスウェルの方程式の問題はアレンジ無しの同一問題
マクスウェルの方程式とは電磁場を表す、電磁気学の基本的な方程式です。すべての電磁気現象はこの方程式を元にしているといわれるほど基本かつ重要な方程式です。また波動方程式とは電磁波の波動現象を表すための基本となる方程式で、定数係数二階線型偏微分方程式とも言われています。
しかし実際のところ無線の業務を行う際に、このような高度な知識を必要とする場面は皆無に等しいので、マクスウェルの方程式を無理して理解する必要はありません。限られた時間での資格取得を目指すのであれば、問題・答えを暗記してしまった方が手っ取り早いです。
まず、問題に出てくる記号の意味を説明します。∇はギリシャ文字でナブラと読みます。そして✕はベクトルの外積、・はベクトルの内積を表す演算記号になります。そして∇と演算記号を組み合わせることで以下のことを表します。
∇・ 発散(div)
∇✕ 回転(rot)
発散は英語で言うとdivergenceなのでdiv、回転はrotationなのでrotと表記されることもあり、どちらも同じ意味ですが出題される年によって、日本語だったり英語だったりするので両方とも理解しておいてください。そして次から覚えるべきポイントについて説明していきます。
これは決まり事ですが、マクスウェルの式から波動方程式を導く際は必ず「回転」する。
最初の式から計算して波動方程式を導いていくいくのですが、「発散」させることはなく必ず「回転」になります。ですので最初のAには回転が入ります。また次のBも良く見ると両辺を回転させることを数式で示しているだけです。なのでBも同じく回転を意味する「∇✕」が答えになります。
(発散div、∇・が正解となることはありません)
ここまでわかるだけで、残りの選択肢は2つに絞られます。あとの部分も毎回同じなので覚える必要がありますが、結論から言うと
C:∇2 (2乗)
D:-jωμ(σ+jωε) (jωμはマイナス)
になります。どちらかを覚えていれば正解の選択肢にたどり着くことができます。この問題の計算を理解し答えを出そうとするとかなりの時間がかかるので、ここは割り切って覚えてしまってください。。
答え 「1」
試験としては少し覚えると簡単に解けてしまいますが、マクスウェルの方程式や電磁気学をちゃんと学びたい方にはこちらの書籍がお勧めです!特に「マクスウェルの方程式から始める 電磁気学」は電磁気学を体系的にわかりやすく説明してあるので一陸技の試験とは関係なく手に取ってみることをお勧めします。