出典:第一級陸上無線技術士国家試験(平成30年7月)
コイルの和動接続と差動接続の問題です。2つのコイルのつなぎ方次第で和動接続または差動接続となりインダクタンスの値が異なります。
決まり事を覚えるだけで和動接続、差動接続どちらも簡単!
まず(1)、端子bと端子cを接続した場合の問題です。コイルの接続方向と和動/差動の関係は次のようになっています。
- コイルXとコイルYが同じ向き:和動接続
- コイルXとコイルYが違う向き:差動接続
この問題では 端子bと端子cを接続しているのでコイルXとコイルYは同じ向きで接続されるため、この問題では和動接続が正解となります。
次にad間の合成インダクタンスLadを求めるのですが、ここは和動接続でも差動接続でもどちらでも成り立つ決まり事が2つあります。
合成インダクタンスの決まり事
- L1とL2の符号は、必ずL1+L2
- 相互インダクタンスMの係数は2
1つ目の決まり事ですが、合成インダクタンスはXとYの2つのコイルの合成なのでXのインダクタスL1とYのインダクタンスL2が足し合わされ必ずL1+L2 になります。コイルの向きが逆のものを接続してもキャンセルされる(L1-L2となる)事はありません。和動接続と差動接続で変わるのは相互インダクタンス(M)の部分だけです。
2つ目の決まり事は、先ほど和動接続と差動接続で相互インダクタンスの部分が変わると説明しましたが、それは符号だけで係数は必ず2となります。つまり+2M、-2Mのどちらかになります。
そして(2)は相互インダクタンスをL1とL2で表す問題、ここも決まり事があります。
この問題では端子bと端子dを接続する場合、つまり2つのコイルが逆向きなので差動接続について聞かれていますが、実は和動接続であろうが差動接続だろうが関係ありません!
和動接続でも差動接続でも分母は必ず「4」
つまりコイルの向きを考えることなく無条件で分母が4のものを選んでください。
以上のことから、選択肢をみるとAはコイルの向きから「和動」、Cは決まり事より「4」となります。
そしてBも決まり事より、L1+L2+2M または L1+L2ー2M のどちらかになりまずがA,B,Cの組み合わせから答えはおのずから導き出せます。
答え 4